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歌舞伎湯の坂巡り

春日通りの伝通院前から参道に入り、立派な山門を左に折れてゆるやかな坂を下ると左手に真珠院がある。その前の小道を右に入っていくと歌舞伎湯。「お湯がいいのは当たり前。うちは、電気風呂が人気かな。四十肩や神経痛が楽になったよとか、いろんな声をいただくよ」とは、歌舞伎湯番頭一筋四十年の岩坂栄松さん。
 さっぱりした後で、訪れてみたいのは、真珠院からもう一本西側にある三百坂。思い出すのは、手塚治虫の歴史漫画「陽だまりの樹」の冒頭。三百坂を主君の乗った駕籠を追って、ハアハアと息をはずませながら全力で駆け上がる武士たち。かつてこの坂を下った先には松平播磨守のお屋敷があり、江戸城へ登城する際に、新入りの武士を鍛えるために、従者たちにこの坂を毎朝全力で駆け上がらせた。主君に追いつけなかった者には罰金として三百文を支払わせたのが名の由来。それほどきつそうな坂には見えないが、江戸のサラリーマン武士が背広ならぬ裃に身を包み、通勤に汗して社長に罰金までとられる姿を想像して苦笑。
 伝通院山門から右に千川通り方面に下るのは、善光寺坂。坂上の歩道のまん中に椋の老木が残るが、澤蔵司という修行僧の魂を宿すので、切ってはならぬとは有名な話。